2億5千年前の巨木が宝石となって蘇ったという、そんな樹の第二の人生がある。火山の爆発により降り積もった火山灰が樹を被い、そして木の中に入っていった成分によってクォーツやマンガンなどの宝石に変わっていったという。
ペトリファイド・フォレストとはそんなとてつもない時間の流れが、突然現代に現れたところなのだ。
そもそも、樹の第2の人生について興味を持ったのは、法隆寺棟梁
故・西岡常一氏を取材した際「千年の巨木が無ければ、千年持つ塔を建てることはできない」と彼は言った。千年の巨木は切って千年目に切ったときの強度にもどるという。今でも真っ黒になった千年前の巨木にカンナをかけるとプゥーンと木の香りが香ってくる。樹は千年経っても生きているというのだ。そんな樹の第二の人生にひどく感動したのだ。
しかし、この石かした巨木たちは生きているわけはなく、触ってもたたいてもただ荒涼としたこの大地にただ横たわっているだけだ。
人は生きている間にとてつもない時間の流れの中に、一瞬生きいているだけだという、そんな感覚を味わうことはあまりない。
しかし、大いなる時間をくぐり抜けてきた物に出会うとき、ふっとそんな事実に気がつくのかもしれない。
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