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マダガスカル〜バオバブ


グランディディエリーという種類のバオバブの
大きさと比較するため、約100年前に絶滅した
巨鳥エピオルニスの卵を
持って村の少年に立ってもらった。

ここから約300キロぐらい南にある砂丘から出
土した破片から復元したものである。

現在のダチョウよりも少し大きく飛べない鳥だ
ったという。もしかすると、この木はそんな鳥
の記憶をもっているのかもしれない。




小さな村の中心にあるバオバブの巨木。この木の下で育った子供は、将来どんな子供になるのだろう。ビルのなかで育つ子供と、ビルのような大きな木の下で育つこと。ちょっと興味がある。 牛を飼うために草原は焼かれる。バオバブの周りの平原は人が作ったものであり決して自然のものではない。もしも、視界の悪いブッシュの中にこの木があり、進むにつれて突然目に入ったらどんなに驚かされることだろう。 日が沈みかけるとバオバブの奇妙な形はいっそう際立つ。静かに見とれていると静かに月が昇ってきた。夜になると南十字星が光り、流れ星がバオバブの上空を時折流れていった。


ゴントワナ大陸のへそが
バオバブの起源の地か?


マダガスカルはアフリカの東、インド洋上に浮かぶ南北1570キロ、束西の最大幅580キロ、面横は58.7万平方キロと日本の約1.6倍の大きさを持ち、グリ一ンランド、ニューギニア、ボルネオに次ぐ世界で4番目に大きい島。アフリカとの距離は最も近いところで400キロ。全動植物の4分の3までが囲有種である。


5億7500方〜2億4700万年前の古生代、南半球には南極、アフリカ、オーストラリア、南米、インドなどがひとかたまりになったゴンドワナ大陸が存在した。この大陸の一部だったマダガスカルは1億6000万年前ごろアフリカから分離し始め、8000万年前にはインドとも切り離されたが、マダガスカルはこの大陸の中心、へそにあたる場所に位置していた。


バオバブは現在、アフリカに1種、オーストラリアに2種、そしてマダガスカルに8種見られる。化石での証拠はないが、その起源をゴンドワナ大陸にまでさかのぼれば、この分布も納得がいく。

 

 

←雨期と乾期しかないこの地域。この池も乾期になるとやがて無くなってしまう。

 
巨体を支える謎は
巨体にあり


マダガスカルのバオバブは幹の上部に枝が固まり、枝の広がりが少ないために葉も少なく、そのくせ幹が妙に巨大だ。ギネスブックにも最大のバオバブは幹周り54.5メートルと記載されている。こんな少ない葉でどうやって巨体を維持しているのか。


うすい樹皮を剥ぐと、そのすぐ下からは緑色が現れる。幹全体に葉緑素が存在し、樹皮下で光合成が行われているのである。半年以上も続く乾期の間、落葉しながらもエネルギー補給できるのは樹皮下で光合成ができるからなのだ。


またバオバブの幹は軟らかくてスポンジのような構造である。このためかバオバブには年輪がないが、これも巨体を維持できる理由だ。スポンジにたつぷりと水分を含んだような幹が巨大な貯水タンクの役割をしているのだ。干ばつの際には、きりたおして牛の飼料としたという事実もうなずける。バオバブの巨体は、それ白身にエネルギー代謝システムを隠していたのである。

 

 

←樹皮はマラリヤの薬になる。

 

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