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イギリス

森を失った国の巨木たち


いつものことだけど巨木の写真を撮っているよりも、探しているときの方がはるかに時間がかかる。イギリスにいたっては王立植物園のキューガーデンに資料をあつめるためだけにライターの蟹江さんが一度調べに行っています。おまけにその前もあって、キューガーデンの担当を紹介してもらうことを頼みに新潟大学の先生のところに挨拶に行っている。日本の巨木ならいくらでも資料を集められるけど、海外となると本当に大変てす。でも探し続けて、行くのに苦労して、やっと出会えたときに本当にいろんなことが見えてくるんですよ。

L OAK / Bowthorpe Farm

L Tilia Platyphyllos/Pitchford

イギリスについて思うことはやっぱり気持ちのいい緑が多い国といった印象かな。ロンドンの街を歩いていても、広々とした公園やプラタナスの大きな街路樹など、すくに目に付くし日本人にはガーデニングの国といった印象が強いでしょう。
でも本当は違うんだ。
この国は産業革命時には国土の1割しか森が残ってなかった。もっとも森を切ってしまったのはもっとずっと前で5世紀にローマ帝国がイギリスから去ったときには、すでに15%しかなくヨーロッパでいちばん森林面積率の低い国になっていたんだ。
きれいで広々とした公園や、少し郊外にでると見ることのできる田園風景も、考えてみると、なんかとっても人にとって都合よくできてるよねえ。人が作ってきたと考えると当然だけど。逆に言うとだからこそ森や緑を大切にするんだと思うよ。

イギリスでは巨木は教会や個人の敷地内に多く残っている。樹種はイチイやオーク、チェストナッツ(栗)といったところがおおいかなあ。
旅を続けていると目に付くのは、小さなお宅に本当にきれいに手入れしている花々があることかなあ。6月に行ったせいもあるんだけど、どこもバラだらけで本当に小さなスペースを上手に使って、花とともに生きているんだ。
庭の芝刈りに命懸けているような人にも会うけど、僕には一種の先祖返りの様なところを感じて少しおかしい。
庭仕事が上手にできる人のことをグリーンサムなどと行ったりするのは森を失ってしまった人々が持つ、自然に対する愛情や意識の中にある回顧の念の現れだと思う。


-Priors Court,Aylton

L Taxus baccata/Surrey

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