ミヤーズ島最大の巨木、通称ハンギングガーデン。

Rain Forest in Canada
苔むした巨木の森を歩く

2019年 9月7日(土曜日)-15日(日曜日)

今回は、苔むした湿潤の森を堪能しながら多くの巨木を見るツアーでした。
1日目は夕方、バンクーバーに到着したため空港近くのホテルに滞在。夕食はネットで探してリッチモンドで評判の中華料理店へ。これがたいへん美味しい中華で、駐車場に高級車が並んでいるだけあってハイクラスな中華料理店。お客さんは中国人ばかりでビジネスで成功した中国人家族が来る店という感じでした。
2日目はバンクーバー島へ移動。空港ホテルから車で30分ほどのTsawwassenという港へ。ここで大型フェリーに乗り、バンクーバー島のDuke Pointへ向かいました。客船といってもいいくらい大きなフェリーでバンクーバー島へ向かう人の多さを感じました。揺れもなく、悠々と海を越えていく感じで約2時間の船の旅を楽しみました。 バンクーバー島到着後はビクトリアで評判のイタリアンレストランでランチを食べました。その後、ビクトリアの街を散策。この日も移動日ということで割り切っていたので、Thetus Lake regional Parkという公園のトレッキングコースで翌日からの森歩きのための足慣らしをする程度にしてホテルへ。
ちなみに、バンクーバー近郊でよく見かける針葉樹の和名を、木材合板博物館の方に伺いました。
1. Western red cedar : ベイスギ
2. Sitka spruce : トウヒ
3. Douglas fir : ベイマツ、アメリカトガサワラ
4. Western hemlock : ベイツガ

画像をクリックすると拡大表示します。


ツワッセンからバンクーバー島のDuke Pointへのフェリーで渡る


2時間の船旅。多少肌寒かったですが、船上からの景色を楽しみました。今回の参加者は女性3名。右から岩田さん、林田さん、周度さん。それに案内役の蟹江さん


ブリティッシュ・コロンビア州の州都でもあるビクトリアは花の都といわれるだけあって街には花がたくさん


ダウンタウンにあるイタリアンレストランでランチ。カジュアルだけどハリウッドスターがお忍びで来るだけあって大人気


ビクトリアの街で立ち寄った本屋さん。雰囲気がとても良かった


樹皮が大好きだという林田さんが気に入った木。植物セミナーで講師をしてもらっている染野さんにメールで名前を聞くと、英名はマドローネ、学名はArbutus menziesii。


岩田さんはいつも森で拾ったものを美しく並べて撮影します。Thetus Lake regional Parkの宝物といったところ

3日目  9日 (月曜日)
いよいよ古木の森へ。現地では有名なAvatar Grove(アバターの森)に行きました。この近くの森にはカナダで2番目に大きいDouglas-firの巨木があり、The Red Creek Firにはカナダ最大のダグラス・ファー、 San Juan Spruce にはカナダ最大のシトカ・スプルース、Harris Creek Spruce にもシトカ・スプルースの巨木があることがわかっていましたが、 時間とのバランスを考え、Avatar Groveにある2つのトレイルを歩くことにしました。
北側にある森を最初に歩いたのですが、こちらは少し登りになっていて、森に入るとすぐにWestern Red Cedarの巨木が林立していました。メインの “Canada’s Gnarliest Tree (カナダでいちばん瘤のある木) ” までは片道30分ほどの上り坂のトレッキング。とても素晴らしい巨木で、大きな瘤を抱えた姿は迫力があり、僕にとってはフォトジェニックなレッド・シダーでした。
南側ある森は山の下の方に伸びるトレッキングコース。こちらも木道が整備されていて歩きやすく、北側と同じくこちらにも巨木がたくさんありました。そのうちの一本を測ったのですが、幹周りは16.5m。縄文杉クラスの巨木がごろごろある森でとてもいい時間を過ごしました。 宿はCowichan湖の近くのモーテル。豪華ではないですが、静かな田舎の清潔なモーテルでした。


Gnarliest Tree


記念写真


Western Red Cedarの巨木でした


横から見てもなかなかの風貌

4日目 10日 (火曜日)
ツアー計画時からこの日が今回のツアーの最大の目玉でした。というのもこの日に目指すのはカナダで3番目に大きなレッド・シダー。他にも巨木がたくさんある森がPacific Rim National Park内にあるCheewhat Lake の近くのCarmanah Valleyにあるという情報を見つけたのですが、魅力的な木の写真があってもルートがはっきりわからない。緯度と経度のGPSデータがあったのでGoogle Mapで調べてみてもトレッキングコースすら見当たらなかったからでした。実際、パシフィック・リム国立公園のカーマナ渓谷に向かうまでも未舗装のガタガタ道を3時間かけて運転することになりました。そして近くまでは行けたのですが、肝心のGPSデータで調べようにも電波が繋がらないのでどうしようもありませんでした。しかし、こういう困難な巨木を探さねばならないときはいつも蟹江さんが見つけてくれます。見当たらないので引き返そうとすると「もう少し行ってみよう」と言われ、少し先でなんとなく車を停めると、蟹江さんが辺りを歩いてここから森に入れると……。そして、試しに行ってみよう、わからなくなったら引き返そうと進んでいくと、お目当ての巨木以外にもあるはあるは。本当に魅力的な森でした。何本見たかわからないくらい。日本にあったら全てご神木であることは間違いないです。


ここがトレッキングコースの入り口。大きな看板がないため車だと通り過ぎやすい。巨樹に鼻が利く人が見つけてくれてラッキーでした


この巨木が今日の一番のお目当、すごい存在感で圧倒されました


ロングドライブなので途中休憩。そこは苔むした森の真ん中でした


このクラスの巨木がたくさんありました

5日目 11日 (水曜日)
この日は、宿泊していたポートアルバーニの町からカーマナ ウォルブラン州立公園内。ここは前日の探索の難しい森とは違い、アクセスがしっかりわかっているトレッキングコース。ただし、前日同様、宿からこの森までは未舗装路を3時間は走らないといけません。往復の時間を考えると森に入れるのはせいぜい3時間とか4時間。悪路は暗くなると危ないし、パンクやスタックなど何かあったときに助けを求めるにも携帯電話は繋がりません。とにかく安全第一の運転、行動を心がけました。この森のトレッキングコースも僕たちの貸し切り状態。誰とも会うことはありませんでした。また、川の氾濫で木道などがだいぶ壊れているという事前情報を得ていたので安全に行けるスリーシスターズという巨木までを目標地点として森に入りました。このレインフォレストも本当に美しかったです。簡単にいうと、苔むした湿潤の森。枝から長い苔を垂らした温帯雨林はマイナスイオンを放っているようで、佇んでいるだけで体の中から浄化される気がしました。ここで元気をもらった僕たちは予定にはなかった反対側のルートにある天国の木という巨木まで歩くことに……。この木はスプルースでしたが、天を目指した姿形が美しく、気持ちまでもが綺麗になっていく気がしました。

6日目 12日 (木曜日)
この日はポートアルバーニの町の北側にあるMacMillan Provincial Parkへ。樹齢800年のダグラスファーの巨木がある森です。温泉リゾート地として有名なトフィーノへ移動する日でもあり、その途中の幹線道路沿いにあるここは立ち寄りやすい場所でもあります。とても整備された森で多くの自然好きな人々が訪れるちょっとした観光ポイントでもありましたが、ここも綺麗な森でした。なにより説明のボードがたくさんあり、これを見ながら歩いていくと、森の構造や木の名前がよくわかります。この日はあいにくの雨でしたが、傘をさして気軽に歩ける森でちょうどよかったですし、その割には得られる情報が多かったです。トフィーノまで約140キロの道路沿いも両側がこの日まで見てきた背の高い針葉樹に挟まれた気持ちのいい道。一日中雨でしたが、森の中を走っている気分でみんなで楽しいおしゃべりをし、車の中でスーパーで買い込んできたBC州名物のスモークサーモン味のクリームチーズとクラッカーやフルーツなどでランチをしたのも思い出深いです。トフィーノ着後は翌日に行く予定のミヤーズ島へのボートの予約などをしました。

7日目 13日(金曜日)
宿泊していたトフィーノの隣町ユークルエレットの宿を朝出発。Pacific Rim National Park内の、Rainforest trailへ行きました。ここも一般の方が来やすい場所だけにわりと混んでいましたが、その分、案内板が充実していて色々発見がありました。2つあるコースはそれぞれ2kmということでしたが、両方とも制覇。その後、予約していた13時出発のボートに乗るためトフィーノのボート会社に向かいました。乗船時間は10分程度。ミアーズ島には温泉もあり、そちらへ行く人のほうが多く、巨木の森へ向かう私たちのボートには、5カ月の赤ちゃん連れのバンクーバー在住のご家族とベルギーの若者3人だけ。島では1時間30分過ごすことができるということで、この日は巨木の前でランチを食べようと簡単なスナックを買っていきました。ここの森は今回のツアーの中では行きやすいほうでしたが、Hunging Garden (たくさんの着生木が下がっているのでこの名前がつけられたようです。多くの木を育んでいるマザーツリーのようなでした)というRed Cedar の巨木がすごかったです。幹周りも20mクラスで、どこから見ても絵になる木でしばらくここで時間を過ごしました。 バンクーバー島に戻った後は翌日の帰国に備えてナナイモまで3時間のドライブ。カナダ最後の晩は美味しいものを食べようと、蟹江さんがナナイモで有名な老舗ギリシャ料理レストランを探してくれて食べに行きました。初めてのギリシャ料理でしたが、とても食べやすく美味。最後の夜を堪能しました。

8日目 14日(土曜日)
朝8時45分のフェリーでバンクーバーへ。行きに乗ったフェリーより小さかったですが、それでもカフェやレストランが数カ所あり、ショップもありました。空港に向かうまでバンクーバーで多少時間があるので、乗船時間中に相談してグランビルアイランドに行くことに……。ここはいくつかのブレワリーやパブリックマーケット、雑貨店、ギャラリーなどが集まったウォーターフロント。お土産を買ったり、マーケットのおいしそうな食材の充実ぶりに驚いたり、雑貨店を覗いて、クラムチャウダーの美味しい店でランチをとりました。 今回は一年半ぶりの「世界の巨樹を見に行く会」のツアーでしたが、ご一緒してくださった皆さんも巨木と森にたくさん元気をもらったといって満足されたようで、僕自身も大満足で終わりました。