第41回 染野さんの植物セミナーレポート


上野から谷中、千駄木界隈を巡る
2019年11月9日 土曜日 /13:00より

上野はすごい人でした。海外からの観光客なのか、開催中の正倉院展を見に美術館に行く方なのか、とにかくすごい人でした。 最初に行ったのがアメリカ紙幣の50ドル札になっているグラント将軍お手植えのローソン檜。明治10年から13年にかけて世界を周遊中に立ち寄って植えたのがこの木です。明治12年に植えられたものなので140年は経っています。かなり弱って見えるのは日本の風土にあまり合わなかったためではないかと……。アメリカ西海岸の原産だそうです。植樹の際には大歓迎会が模様されたそうで、隣には夫人が植えた泰山木がありました。こちらは見事に育っていてました。
次に行ったのが上野東照宮。境内に大きなクスノキがあり、こんなところに巨木があるのかと驚かされました。 その後は上野公園を横断する形で東京芸大の構内へ。ここで最初に見たのはスタジイのかなりの老木。こんなになっても生きているのかと思われるほど、幹の一部しか残っていないのに、立派に葉っぱをつけていて生命力に感動しました。すぐ裏にはこの日最大のクスノキの巨樹がありました。芸大の中にはいろんな種類の木がたくさん植えられていると聞きました。
そして、谷中で有名なみかどパン店さんのヒマラヤスギへ。残念ながら台風19号で大きな枝が折れてしまっていました。谷中からは千駄木を目指しながらお寺を巡って、クスノキの大木を何本か訪ねました。大雄寺のクスノキは野生的で、妙雲寺と感應寺の境に立つ塀を飲み込んだクスノキはとても迫力がありました。
千駄木では、江戸時代の大給藩松平家の屋敷内にあったイチョウを見学。いまは子供たちが集う小さな公園になっているため、とても刈り込まれていてちょっとかわいそうでした。途中、旧森鴎外邸の庭を眺めて最後は、栄松院のスタジイへ。この木は東京大空襲で被弾しほとんど部分がなくなっていました。それでも一部から細い新しい幹が生えて、たくさんの緑をつけていました。木は動けないからトラブルも甘んじて受けなくてはなりませんが、それでも黙々として生を続けようとする。木はその存在そのもので、人間の私たちに多くを教えてくれているような気がしました。
最終的には白山駅まで歩いて解散。いつもの夜の食事会へ。
来年の春にはイタリアツアーを考えていることなどを話して、楽しい夜を過ごしました。

上野から谷中、千駄木界隈を巡る
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USAの50ドル札。明治12年。この地をご夫婦で訪れ植樹している。


ローソン檜。140年立ってもこの太さだということは東京の風土に合わないのかもしれません。


グラント将軍の奥さんが植えたタイサンボク。


上野公園にある東照宮。ここにこんなクスノキの巨木があるなんて。幹回り約8m。高さ約25m。樹齢は約600年


東照宮以前からこの地を守り続けている。枝ぶりも見事だ。


金箔が美しい上野東照宮の社殿。家康を祀るために家光が建立。


1651年造営。国指定重要文化財。金箔殿とも呼ばれている。社殿内は非公開。


キササゲ。木へんに秋。楸と書きます。/p>


国立美術館のユリノキ。属名は、リリオデンドロン。和名は、大正天皇が命名したとか。


芸大内のスタジイ。こんなに細くなっても生きているのかと。


芸大内のクスノキ。


学生には、彫刻のためのいい木だぐらいに見えるんでしょうかね。とても元気です。


芸大内だけに、彫刻のための木がたくさん積まれていました。


谷中を歩いていると、なんとジャカランダが。咲いた頃は綺麗だろうな。


大雄寺のクスノキ。


枝ぶりも見事でした。


ひこばえがたくさん生えていました。可愛かったです。


プレクトランサス


ボケの果実


二つの寺の間にあるクスノキ。塀を飲み込んでいる。妙雲寺側から見たところ。


塀をとってあげればいいのにと思うけど。どうしてなのかな。


感應寺側から見たクスノキ。


ヒメツルソバ


みかどパン店のヒマラヤスギ。谷中のシンボル的な巨樹だが、先月の台風19号の影響で大きく枝が折れてしまった。


オシロイバナ。夕方4時頃によく花が開くので英名はFour o’clockというそうだ。


谷中らしく、こんな古い芸能人の写真が。


観音寺の築地塀。台東区のまちかど賞の塀。文化庁の登録有形文化財


マユハケオモト


江戸時代、大給藩松平家の屋敷内にあったイチョウ。


旧森鴎外邸内。ドウダンツツジが美しい。


タイワンホトトギス


シャリンバイ


最後に訪ねた栄松院のスタジイ。東京大空襲で被弾し半分がなくなっている。それでも元気に葉を茂らせていた