上野はすごい人でした。海外からの観光客なのか、開催中の正倉院展を見に美術館に行く方なのか、とにかくすごい人でした。
最初に行ったのがアメリカ紙幣の50ドル札になっているグラント将軍お手植えのローソン檜。明治10年から13年にかけて世界を周遊中に立ち寄って植えたのがこの木です。明治12年に植えられたものなので140年は経っています。かなり弱って見えるのは日本の風土にあまり合わなかったためではないかと……。アメリカ西海岸の原産だそうです。植樹の際には大歓迎会が模様されたそうで、隣には夫人が植えた泰山木がありました。こちらは見事に育っていてました。
次に行ったのが上野東照宮。境内に大きなクスノキがあり、こんなところに巨木があるのかと驚かされました。
その後は上野公園を横断する形で東京芸大の構内へ。ここで最初に見たのはスタジイのかなりの老木。こんなになっても生きているのかと思われるほど、幹の一部しか残っていないのに、立派に葉っぱをつけていて生命力に感動しました。すぐ裏にはこの日最大のクスノキの巨樹がありました。芸大の中にはいろんな種類の木がたくさん植えられていると聞きました。
そして、谷中で有名なみかどパン店さんのヒマラヤスギへ。残念ながら台風19号で大きな枝が折れてしまっていました。谷中からは千駄木を目指しながらお寺を巡って、クスノキの大木を何本か訪ねました。大雄寺のクスノキは野生的で、妙雲寺と感應寺の境に立つ塀を飲み込んだクスノキはとても迫力がありました。
千駄木では、江戸時代の大給藩松平家の屋敷内にあったイチョウを見学。いまは子供たちが集う小さな公園になっているため、とても刈り込まれていてちょっとかわいそうでした。途中、旧森鴎外邸の庭を眺めて最後は、栄松院のスタジイへ。この木は東京大空襲で被弾しほとんど部分がなくなっていました。それでも一部から細い新しい幹が生えて、たくさんの緑をつけていました。木は動けないからトラブルも甘んじて受けなくてはなりませんが、それでも黙々として生を続けようとする。木はその存在そのもので、人間の私たちに多くを教えてくれているような気がしました。
最終的には白山駅まで歩いて解散。いつもの夜の食事会へ。
来年の春にはイタリアツアーを考えていることなどを話して、楽しい夜を過ごしました。