高知〜檜場 所 : 高知県
目周り9.9m
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きれいなところを案内するからという誘いに「じゃあ」って行ったんだけれど、実はあまり感動しなかった。レイクルイーズ、カナナスキス、ビクトリアグレッシャーなど有名な観光スポットは全然だめ。めちゃくちゃきれいなんだけどね。
むしろ、エルク(大きな鹿)が静かに川を渡っていくようななんでもない風景がよかった。大きな角をしたエルクがサスカチィアンリバーの川岸に立っていて、しばらくの間じっと遠くを眺めていたんだ。ずっと遠くをね。しばらくするとその川を渡り始めたんだけれど、流れが急だし広いしで、どんどん流されながらも懸命に渡っていったんだ。ものすごい大自然の中をただ一点このエルクだけが生きている物の塊とでも言っていいのか、ものすごい、躍動感。澄み切った冷たい空気、川の音以外に聞こえるものは透明感のある森の息吹だけ。 |
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旅に出るといつも偶然のように自然は表情をのぞかせる。そんなときに、旅に出てよかったと思えるんだ。そう、ずっとこうしていようと。
日本の植物分類学の基礎を築いた牧野富太郎さんの言葉に「草をしとねに 木の根をまくらに 花と恋して90年」というのがあるんだけれど、ずっと旅を続けていっていつか自分が人生を振り返るときに、こんな言葉が言えたらすてきだなと思うよ。 |