折合いの檜

高知〜檜

場 所 : 高知県


種 類 :檜(檜では日本一)

目周り9.9m
樹高30m
問合せ先 窪川営林署


カナダの友達ブラットと、
秋のロッキーマウンテンを
旅してきました。
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そして想いは・・・
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『草をしとねに
  木の根をまくらに
   花と恋して90年』

      
 


  きれいなところを案内するからという誘いに「じゃあ」って行ったんだけれど、実はあまり感動しなかった。レイクルイーズ、カナナスキス、ビクトリアグレッシャーなど有名な観光スポットは全然だめ。めちゃくちゃきれいなんだけどね。

 むしろ、エルク(大きな鹿)が静かに川を渡っていくようななんでもない風景がよかった。大きな角をしたエルクがサスカチィアンリバーの川岸に立っていて、しばらくの間じっと遠くを眺めていたんだ。ずっと遠くをね。しばらくするとその川を渡り始めたんだけれど、流れが急だし広いしで、どんどん流されながらも懸命に渡っていったんだ。ものすごい大自然の中をただ一点このエルクだけが生きている物の塊とでも言っていいのか、ものすごい、躍動感。澄み切った冷たい空気、川の音以外に聞こえるものは透明感のある森の息吹だけ。
 川を渡り切った彼は少し間を置いて、こちらを静かに振り返ると体をぶるっと震わせて水を弾きとばし、何事もなかったかのように森の中に消えていった。森と川の風景はまたいつものようにただただ雄大に、いつものようにそこにあった。
 たったそれだけの出来事に、僕は何千年という時間の流れを感ぜずにはいれなかった。自然の中ではいつも出来事が突然起こる。終わってしまえば何事もなかったかのごとく自然は静かに時間を戻していく。

 

 旅に出るといつも偶然のように自然は表情をのぞかせる。そんなときに、旅に出てよかったと思えるんだ。そう、ずっとこうしていようと。

 日本の植物分類学の基礎を築いた牧野富太郎さんの言葉に「草をしとねに 木の根をまくらに 花と恋して90年」というのがあるんだけれど、ずっと旅を続けていっていつか自分が人生を振り返るときに、こんな言葉が言えたらすてきだなと思うよ。
 そんなわけで今回は牧野先生に因んで高知の巨木を紹介しよう。檜では日本で一番大きい樹だよ。車を降りてからちょっと歩くけれどよかったら行って見よう。

 

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