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この山には他にもいろいろなブナがあり「森姫」(↑)
や「森太郎」と名付けられた巨木がある。

種類:コブブナ


平成11年春 なだれによって倒れる 


場所:長野県の鍋倉山

JR飯山線上境駅より、県道41号線で約6キロ。鍋倉山の中腹までは車で行ける。入 山口はいくつかあるが、南斜面を約30分。


 ずいぶん旅を続けてきたけれども、巨木に出会ったときというのはいつもちょっと 怖い感じがするんだよ。でもたまに出会った瞬間に「ぷっ」と吹き出しちゃっう木がいて、それが今回紹介する“コブブナ”なんだ。
ここは冬は豪雪でなかなか近づけない。夏でも生い茂る樹木でルートをちょっと外れるともうヤブ漕ぎ状態で、なかなか前に進めないといった大変な山の中だ。だけどもここはブナの原生林。本当に美しい所だよ。僕は、世界中でブナの森が一番美しいと思っている。

 最初に行ったのは6月の始めだったかな、まだ所々に雪があったよ。
道があるわけじゃないからずいぶん迷って、この木にたどり着くまではずいぶん時 間がかかった。でもたどり着いたときは「おまえどうしちゃったの?」こんな山の中で「お前1人でなにやってんの?」と思わず声をかけてしまったぐらいかわいかった。愛らしいんだよねえこの木は。

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  じっとしているといろいろなものが見えてくるんだ。たとえばね、木は何百年も生き続けるのに、毎年たくさんの実をつける。それを鳥が食べたり、熊や人が食べたりして種が運ばれる。彼らは動けない存在であるがゆえにどうやって自分の子孫を遠くに運んでもらえるかを考えて、おいしい実をつける。そういう遺伝子が働いているんだろうねえ。桜なんていい例で遠くの山にぽっと一本咲いていたりする。ブナだって目立たないけれど真剣に考えているんじゃないのかなあ。
このコブブナなんてほんとに今までなに考えてきたのかって思っちゃうよ。ここなら姿の違った何本かのブナの巨木が見れる。美しいブナの森の中でじっと一緒に生きている時 間を感じていたいものだよねえ。

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